自販機よさらば
自販機よさらば 表紙
SMABON

自販機よさらば

持てば、いらない。

アバウト佐々木
スマボン出版®︎

必要でなくなるための話

これは、
自販機をやめるための話ではない。

気がつけば、
必要でなくなっている。

そんな状態を、
つくるための話である。

自販機は、そこにある

暑い日がある。

喉が、少し渇く。

歩いていると、
目の前に自販機がある。

冷たい飲み物が、
静かに並んでいる。

手は、自然に伸びる。

それは、悪いことではない。

ただ、
そういう流れになっているだけだ。

渇きと欲望

人は、
喉の渇きだけで飲むわけではない。

冷たいものが欲しい。
甘いものが欲しい。

その気持ちが、
少しずつ重なっていく。

気がつくと、
ボタンを押している。

それもまた、
自然なことだ。

持つという発想

ここで、
ひとつだけ変えてみる。

買う前に、
持っていく。

それだけで、
流れは変わる。

水は、すでにある。

満足も、
すでにある。

だから、
新しく買う必要がなくなる。

自販機不要のしくみ

特別なことは、いらない。

必要なのは、
シンプルな準備だけだ。

  • 浄水フィルター付きボトル
  • 携帯用保温ボトル
  • 小ぶりの帆布トートバッグ
  • 茶漉しポット
  • ルイボスティー

水は、どこでも手に入る。

飲みものは、
自分で整えられる。

浄水ボトルは、
喉の渇きのためにある。

保温ボトルは、
満足のためにある。

水と満足。

この二つを分けて持つ。

それだけで、
自販機の入り込む余地は小さくなる。

二本を、
小さなトートに入れる。

持ち歩くというより、
暮らしの道具として、そばに置く。

バッグの中に水がある。

バッグの中に満足がある。

それで、十分になる。

一日の型

大切なのは、
がんばることではない。

整った流れを、
静かに繰り返すこと。

それが、
一日の型になる。

朝の作法 起動

  1. 起きたら、まず白湯を一杯飲む。急がず、内臓を目覚めさせる。
  2. 少し時間を置いて、茶漉しポットを用意する。
  3. ルイボスティーのティーパックを一袋用意する。
  4. ティーパック素材が気になる場合は、袋を開き、中身だけを茶漉しポットに入れる。
  5. 沸騰直前の湯を注ぐ。
  6. ふたをして、十分ほど蒸らす。
  7. 一杯を、ゆっくり味わう。

ダイソーのティーパック八袋入り百円で、十分である。高価であることより、続けられることの方が大事だ。

この十分は、
待たされる時間ではない。

体を整える時間である。

湯気を見る。

香りを感じる。

飲みものが整うのを、
自分も一緒に待つ。

外出前の作法 準備

  1. 朝と同じ要領で、ルイボスをもう一度淹れる。
  2. 十分蒸らしたら、携帯用保温ボトルに移す。
  3. 浄水フィルター付きボトルには、水を入れる。
  4. 保温ボトルと浄水ボトルを、小ぶりの帆布トートバッグに入れる。
  5. 玄関で、二本を持ったことを確認する。

忘れないためには、置き場所を決める。バッグは玄関近く。ボトルは朝の動線に置く。

ここで、
自販機に勝とうとは思わない。

ただ、
必要なものを先に持つ。

先に持てば、
あとで迷わない。

日中の作法 維持

  1. 喉が渇く前に、まず水を少し飲む。
  2. 暑いときは、水を優先する。
  3. 落ち着きたいときに、ルイボスを少し飲む。
  4. 一気に飲まない。
  5. 何度かに分けて、体に巡らせる。

水は、補給。

ルイボスは、満足。

この二つの役割を、
混ぜない。

喉が渇いたら、水。

口さみしくなったら、
ルイボス。

買わないために、我慢するのではない。

買わなくて済むように、
先に整えておく。

自販機の前を通ったとき

  1. 立ち止まる前に、水をひと口飲む。
  2. まだ欲しければ、もうひと口飲む。
  3. それで足りることが多い。
  4. 足りなければ、水を選んでもよい。
  5. 甘いものは、習慣に戻さない。

完璧を目指さない。

ただ、
戻り道を太くしない。

夜の作法 収束

  1. 夜は、足さない。
  2. ルイボスは、半杯ほどに抑える。
  3. 飲みすぎない。
  4. できれば、寝る二時間前までに終える。
  5. その日の分は、その日のうちに終える。

夜は、
整える時間ではあるが、足す時間ではない。

少なくする。

早めに終える。

一日を、閉じる。

水を持つ。

満足も持つ。

それだけで、
自販機は必要ではなくなる。

ひとつの理由

少しだけ、
自分のことを話す。

心臓に、持病がある。

無理をすると、
すぐにわかる。

だから、
整えることを考えた。

急がないこと。
揺らさないこと。

静かに、続けること。

その中で、
飲みものを見直した。

冷たすぎるもの。
甘すぎるもの。

そういうものを、
少しずつ減らしていった。

代わりに、
水を持つようになった。

ルイボスを、
持つようになった。

それだけで、
少し楽になった気がする。

特別なことではない。

ただ、
自分に合う形にしただけだ。

だから、これは気合いの話ではない。

身体に合わせて、
生活の流れを変える話である。

選択肢から外れる

気がつくと、
自販機の前に立つことはある。

そのときは、
まず水をひと口飲む。

それだけで、
少し落ち着く。

無理にやめなくていい。

ただ、選ばなくなる。

選ばないものは、
やがて意識から離れていく。

〈ガリガリ君中毒〉は?

とまあ、
なんとなくやれそうな気がする。

ただ、
ひとつだけ言い忘れていたことがある。

〈ガリガリ君中毒〉は?

どうしても、
あれが欲しくなる日がある。

冷たくて、軽くて、
少しだけ、うれしい。

それを、
無理に消す必要はない。

ときどきなら、いい。

ゆっくり味わえばいい。

すべてを整えすぎないこと。

少しだけ、
ゆるしておくこと。

終章

ある日、ふと気づく。

自販機で、
飲みものを買っていない。

それでも、
何も困っていない。

むしろ、
少し整っている。

持てば、いらない。

自販機は、
自然に消えていく。
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